緑内障の治療
緑内障治療の目的は進行を止める、または遅らせることにあります。
一度障害されてしまった視神経は、回復することはありません。
点眼治療やレーザー治療などで十分な眼圧下降が得られない、視野が悪化していくような場合には、手術を行う選択肢もございます。
早期に緑内障を発見できれば、また視神経の障害が軽いうちに適切な治療を受けることができれば失明に至る危険性を減らすことが期待できます。
当院では、患者様それぞれの緑内障の症状、進行度合い等を考慮の上、手術を含めた最適な治療法をお勧めしております。
低侵襲緑内障手術について
当院では主に流出路再建術眼内法を実施しています。
緑内障手術には、元々の房水の流れを良くする「流出路再建術」、新たな房水の流出路を用意する「濾過手術、インプラント手術」、房水が作られないようにする「毛様体光凝固術」などがありますが、結膜や強膜を切開する必要がなく低侵襲であること、さらに線維柱帯を直接確認しながら切開できるため再現性に優れることが、従来の方法と比較した際の特徴である「流出路再建術」を採用しています。
流出路再建術(線維柱帯切開術 眼内法)
房水が排出される線維柱帯が詰まってしまい、薬物治療やレーザー治療では十分に眼圧を下げられないときに行う手術が「流出路再建術(トラベクロトミー)」です。 当院では谷戸式マイクロフックを用いて、眼の中から線維柱帯を切り広げる方法で治療を行っています。この手術によって目詰まりを取り除き、房水の流れを良くすることで眼圧を下げることを目的としています。

適応
ほぼ全ての開放隅角緑内障(血管新生緑内障、ぶどう膜炎に伴う続発緑内障、などを除く)
ステロイド緑内障、落屑緑内障、白内障合併例では特に有効
手術の特徴
低侵襲
切開傷が小さいため眼への負担が少ない(強膜・結膜は切開しない)
短時間
手術時間が短い(5~15分程度)
低リスク
合併症(視力低下、術後感染症など)のリスクが少ない
合併症
- 術後感染症:侵襲が少なく手術時間が短くても、眼科の手術では一定の割合で起こりうる重篤な合併症です。抗生物質の投与や緊急手術(硝子体手術:眼内を洗浄する目的)で対応します。
- 前房出血:軽微なものを含めれば必ず起こります。ほとんどが1ヶ月程度で自然に吸収されますが、出血量が多かったり、吸収が遅い場合は追加治療を要することがあります。
- 術後一過性眼圧上昇:手術後は一過性に眼圧上昇が見られます(5~20%程度)。程度に応じて点眼・内服の追加を行いますので、術後も通院を継続してください。
緑内障レーザー治療
当院では緑内障に対して、レーザー治療(SLT)にも対応しています。
レーザーを線維柱帯(房水の通り道)に照射し、目詰まりした細胞のカスなどを除去することで房水の流れを改善させ、眼圧を下げる治療法です。この治療は、低エネルギーのレーザーでメラニン色素に選択的に作用するため、線維柱帯を損傷することなく、低侵襲で安全に繰り返し治療することが可能です。
また、外来で短時間で対応できますので患者様への身体的ご負担も軽減できます。
対象となる方
●点眼治療のみでは十分な効果が得られていない方
●複数の点眼治療が困難な方、または毎日点眼することがつらい方
●妊娠中や授乳中で点眼治療ができない女性の方 など
治療の利点
線維柱帯を温存
組織を破壊せず、細胞のカスを除去するだけの治療のため、副作用が少なく安全性が高いです。
繰り返し治療が可能
従来のレーザー治療と異なり、線維柱帯に悪影響を与えないため、複数回治療を行うことが可能です。
点眼治療の補助として有効
点眼薬による治療で効果が不十分な場合や、点眼が困難な患者様にも適しています。
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